暑い… 転入してきて3ヵ月が経った。
もう7月、季節は夏だ。



「日本の夏って……こんなに暑かったっけ…?」


そう言いながら日差しで鉄板と化したコンクリートの道を歩く制服を着た少女が1人。

今はもう夏休み。

実は、テストも終わり終業式を終え、夏休みへと突入していた。

夏休み初日から3日間は、秋に行われる文化祭準備で学校へ。
ちなみにクラスでの出し物はメイド&執事喫茶となった。
クラスの団結力がとてもよかったのか、衣装などの制作もたったの3日間で準備は終わってしまった。



なので、クラスメイトはもう文化祭準備では登校しなくてもいい。



が登校している理由。
それは生徒会の仕事のため。
文化祭準備や、文化祭が終われば次世代の生徒会へ引き継ぎもある。
そのための準備を今からしているのだ。



それにしても暑い。


約10年ぶりの日本の夏。
小さい頃はこんなくそ暑いなんて思わなかったはず…
いや、小さいから気にならなかっただけ?
まぁ、覚えてないし今更だよね、うん。


そんな事を考えていると、いつの間にか目的の場所である生徒会室の前に立っていた。


…いつ着いたんだろう
私ってなんかすごくない?

と自分のあまりすごくない能力をほめてドアを開ける。

ドアを開けた瞬間、真夏の太陽の日差しと気温で火照っていた身体を涼しい風が通過する。


ドアを開けた先には、すでにいつものメンバーがそろっていた。



「あら、 !おっはよ〜!待ってたわよ〜!」


ハートを撒き散らしながらぎゅぅっと抱きついてきたのはそう、リナリー。


「おはよう、リナリー。夏休み始まったのに会えて嬉しいね。ラビも!今日も頑張ろう!」


机に向かって生徒会の仕事をしていたラビ。
名前を呼ばれると顔を少しあげ、小さな声で「おう。」と答えた。


なんかラビの反応がいつもと違うな…


そう思っているとリナリーが から身体を離し、会計の席に着く。
それを見て も自分の席、つまり会長のラビの隣へと座った。


「ラビ?どうしたの?」


変だと思い再び話しかける。
ラビは顔を上にあげない。しかし、返事は返ってきた。


「ん?どうしたも何もないさ?」


いや、そういう返事を待ってたんじゃなくて…
顔をあげてくれないから心配してるんだけどな…


そうとは言えず、気になりながらも仕事を開始する。


でもやっぱり気になる。
仕事をしながら、チラッとラビの方を見る。


きれいなオレンジ色の髪、整った顔。


ラビってやっぱりかっこいいんだな〜


なんて見とれて視線を送ってしまったものだから、それに気づいたラビと目が合ってしまった。
目が合った瞬間、ラビは目を丸くして驚いていた。
見つめてないよ、たまたま目があっただけだよアピールのためにニコッと笑うと、ラビは何事もなかったかのようにまた仕事に戻った。


目が合ってしまい、びっくりして心臓はバクバク。
見とれてしまっていた自分がすごく恥ずかしい。
それに比べて、ラビは恥ずかしいとかそういうの一切無いみたい。
恥ずかしいのは私から見とれてしまったからなのか…




ラビは普通にかっこいいと思う。

けど…

私にはあの男の子″との約束がある。



ラビの事、好きになりかけてる…


でもね、他の男の子を好きになるなんて、考えちゃいけないことなんだ。




仕事を始めて時間はまだ5分と経っていないのに、私の心臓はバクバクと動悸が治まらない。
落ち着かせるため、私は生徒会室を出て行ったのだった。



が生徒会室を出てすぐ、ラビが顔を真っ赤にしながら机にうなだれたのを見て、リナリーがクスクスと笑っているのだった。



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2013.4.29
久しぶりすぎる更新!!!  Maya