テストも終わり、いつもの日常が戻ってきた。
『おはよ〜!』と朝の挨拶が飛び交う中、は玄関で靴を履き替えていた。
パサッ…
靴を入れようと靴箱の扉をあけると、一枚の封筒が落ちてきた。
あれ?なんだろう?
そう思い、封筒を拾う。
宛先は自分。
封筒はシール1枚で閉じられており、すぐにあけることができた。
中身は1枚の手紙。
その手紙をそこで読むとすぐにしまい、何事もなかったかのようには教室へ向かったのだった。
「〜?お昼食べましょ?」
昼休みになり、みんながお弁当を広げだす。
「あ、リナリー。先にお昼食べてて?」
そう言い、は教室をさっさと出て行ってしまった。
「どうしたのかしら?」
「なーんか怪しいさね……ちょっと俺も行って来るさ。」
「え?ちょっとラビ!?」
リナリーが止める暇もなく、ラビも教室を出て行ったのだった。
の後をつけていくと、校舎裏に出た。
誰もいないこの時間。
は壁に寄りかかっている。
誰かを待ってる…?
ラビがそう思った時、誰かが歩いてくる音が聞こえた。
「あ、さん!待たせちゃってごめんなさい!」
男の声?まさか…ってかそれしかない…よな?
駄目だとはわかっていても気になってしまい、聞き耳を立てる。
「……いきなりごめん。来てくれてありがとう。
あの…隣のクラスだし知らないかもしれないんだけど……
ずっと気になってて…気が付いたら好きになってた。
これから知っていってもらえたらいいなと思うんだ。
よかったら付き合ってください!」
告白されてる〜!
「……えっと…隣のクラスで、サッカー部だったよね?ってこれくらいしか知らないんだけど…
気持ちは凄くうれしい。けど…付き合うのはできません…ごめんなさい…」
「そっか…わかった。ありがとう。じゃぁ…友達としてよろしく!」
そう言うと男子生徒は去って行った。
カサッ
「えっ?誰かいるの?」
そう言い、あたりを見渡すと死角になっていた場所からオレンジ色の、ラビの髪の毛が見えた。
は近くまで行こうと歩き出す。
「ご、ごめん!!!の様子が変だからってつけてきちゃったんさっ!」
あせった声を出しながらラビはひょこっと顔を出し、の目の前に現れた。
「もう…じゃぁ聞いてたんだ?」
「だからごめんって……
でも、なんで断ったんさ?あいつ結構かっこいいし、いいやつだぜ?」
「だって…あんまり知らない人だし…あたしには約束があるから…」
「約束って…あのメアド関連の?」
「メアド?あ、そうそう。ラビってばよく覚えてるね。
小さい頃……アメリカに行く前にね、また会おうって約束した男の子がいるの。
その子の事ずっと好きだった。ううん、今でも好き。
あの子は覚えてるかわからないけど、私だけが約束って思ってるのかもしれないけど……待つって決めたの。
きっと会えるって信じてるから。
その子が約束忘れてても、会えるって……信じてるの。」
そう言っては笑った。
授業が終わり、いつもの帰り道を歩く。
『きっと会えるって信じてるから。
その子が約束忘れてても、会えるって……信じてるの。』
の言葉を思い出す。
忘れてても……
「忘れるはずないのになぁ。」
“あの子”は覚えててくれた。
やっぱりが“あの子”だった。
「やっと……会えた。あとは俺次第、さね。」
オレンジ色の暖かい光が、背中を押してくれているように感じた。
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2011.11.14 Maya